2005年04月17日

EDA業界の企業買収

ライブドア買収劇の報道合戦も一息ついた感がありますが、この騒動のなかでかつてEDA業界で盛んに行われた企業買収を思い出してしまいました。

PCB-CADの業界では1990年代をピークに盛んに買収が行われました。この間、DOSの流れを汲むPCB-CADメーカのほとんどがハイエンドの大手メーカに買収されてしましました。例えば、OrCADはCADENCE社に、PADSはMentor社に買収され、はた目には大きな組織の中に埋没してしまったように見えます。しかしProtelだけは例外で、企業を買収する側にまわりますますその存在感を大きくしています。

この買収で一番迷惑をこうむるのは、買収された側の製品を使っているユーザです。開発がスローダウンしたり止まったり、さらには製品自体が消滅する場合があります。しかし現在では、PCB-CADメーカはすでに落ち着くところに落ち着き、買収による離合集散は収束したように見えます。もっともこれは希望的観測かも知れませんが.......

というところで、4年前にDesignWave誌に寄稿した、天災のようにやってくる企業買収というコラムが見つかりましたのでご紹介します。 これ以上離合集散が起こらないことを祈って......

以下DesignWave誌2001年6月号に掲載されたコラムです。

天災のようにやってくる企業買収

EDAツールは、データの互換性や他の運用上の問題から、簡単には他のメーカのものに切り替えにくいのが現状です。このためほとんどのユーザが何年もの間、同じメーカのツールを使い続けようとします。ところが、ユーザがメーカを変えなくても、メーカが勝手に変わってしまうという事がよくあります。それは企業買収です。ここ数年の間にEDA業界では企業買収が頻繁に行われ、多くのユーザがこの影響を受けました。そして困った事にこれは、天災のように突然やってくるため、予防する事ができません。

ではなぜ、こんなに企業買収が行われるのでしょうか? 勝手に推測してみましょう。
企業買収が始まったきっかけは、これが統合ツールをユーザに供給する為の、最も簡単な手段であったからだと思います。統合ツールを供給する為にメーカは、今まで自分達が専門としてきたツールだけではなく、専門外の複数のツールを用意する事が必要になります。この為、自社で開発する事やサードパーティからライセンスの供与を受ける事を試みます。しかしこれらの方法が不十分である事がわかると、必要なツールを会社ごと買ってしまった方が良いと考えます。はじめ、一部の力のある企業がこの目的で買収をはじめましたが、ITバブルがこれに輪をかけ、業界全体に波及しました。もともと欧米の企業では、一番の成功は株式を上場させる事で、二番目の成功は上場企業に株式を売却する事だという考えがあります。この為、先に上場に成功して資金を得た企業が、必要な企業を買収する事はそれほど難しい事ではないようです。

また一旦上場してしまうと、ツールの統合とは関係の無い理由で買収が必要になります。割高な株価の維持です。特にITバブルの全盛期は、上場すると業績よりも将来性に対する期待により、割高な価格で株式が取引されるという事が頻繁に起こりました。この為、経営者は株主に対して将来性を誇示し、さらに、資金の運用実績を示す事により割高な株価を維持する努力をしなくてはならなくなりました。このための手っ取り早い方法が企業買収であり、先に上場したEDAメーカが、同業者をどんどん買収し始めました。

評論家のように解説していますが、このわたし自身もこの買収劇の真っ只中にいます。以前に共同経営していた会社では、取引先のEDA企業が次々と買収され、数年後にはわたし達の会社自身も現在在籍している会社に、吸収されました。そして現在の会社では、次々と同業者を買収しています。

しかし、もうこれからはだいぶ落ち着くと思います。バブルもはじけ、EDA企業の数も少なくなっているからです。でも安心はできません。天災ですから予防はできませんが、心の準備くらいはしておく必要がありそうです。

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