2005年04月05日

Protelと既存ツールとの共存

機能と価格面で Protel の有効性が確認できたとします。しかし、すでに社内で別のCADが使用されている場合には、導入までにいくつかの課題を解決することが必要です。

まず、既存の資産の継承です。CADを使って1年間フルタイムで設計を行うと、概算で原価一千万円程度の設計データが蓄積されます。通常は、おそらくこの何倍もの技術資産が蓄積されているはずですから、Protel でこれを継承し再利用することが要求されます。また、ERPなどとの連携がおこなわれている場合には、これらとProtel とのインターフェイスが求められます。そしてさらに大きな問題はいかにして既存の設計者にProtel を浸透させるかということです。

もし、何千万円もするハイエンドツールを導入するのであれば、CADメーカが肩代わりしてこれらの課題を解決してくれるでしょう。しかし安価なProtel ではそういうわけにはいきません。また、外部からカスタムツールや人材の提供を受けるという方法もありますがこれには多額な費用がかかります。このような提案をするとおそらく「そんなに金がかかるのなら今までのCADを使い続けるほうがマシ」という結論になると思います。そこで現実的な解決策として必要になるのが、既存のツールとProtel との併用です。そして両者が共存した環境の中で効率的な分担を行うことです。

次にいくつかの分担のモデルを紹介します。実際にはこれらのモデルを組み合わせて運用します。

(1) 水平分担
設計変更などの既存データの再利用が必要な設計案件には既存ツールを使用し、新規の設計案件にはProtel を使用する。この場合には時間が経って既存データが陳腐化すれば、既存のツールは不要になる。
(2) 垂直分担
デザインエントリーにProtel を使用し、PCB案件には既存ツールを使用する。この場合にはProtel で作成された回路図データが蓄積されることによって、Protel による基板設計移行への自然な流れができる。
(3) 世代分担
若いエンジニアに Protel を与え、ベテランは既存ツールを引き続き使用する。たぶん Protel は先入観の無い若いエンジニアに好まれるはず。この場合には、ベテランエンジニアが管理職になって現場から離れれば、既存ツールは不要になる。

部分的にでもProtel の導入が実現すれば、このような形で少しずつ課題の解決が可能になります。

熟練設計者は既存のツールに対して、長期の努力によって得たノウハウを持っていますので、新しいツールへの移行に躊躇するのは当然のことです。このため設計者をどのようにしてProtel に振り向けるかが最大の課題であると言えます。今までいろいろなケースを見てきましたが、CADを選ぶことよりもCADを使う人を選ぶことのほうがはるかに難しいというのが現実のようです。

最後に、図研ツールとProtel との併用に成功した、あるCAD管理者の考え方を紹介しておきます。それは「図研ツールとProtel との間にデータ互換は不要」というものです。これはすこし意外でした。データに互換性があるとProtel で設計をはじめても、すぐに使い慣れた図研に戻ってしまうので無いほうが良いということでした。新しいツールへの移行はこれくらい明確な方針のもとで取り組まないと、成功しないのかも知れません。

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